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ヘゲモニー~政治経済を学べるビッグゲーム

先日、ついに日本語版が発売されたヘゲモニーをプレイしました。

このゲームのテーマは、何と政治経済。各プレイヤーはそれぞれ違う役割を担い、お互い絶妙なバランス関係の中、文字通り覇権を争っていきます。

 

役割は労働者階級、資本家階級、中産階級、政府の4つあり、労働者階級は働いて賃金を得て、それを元に商品やサービスを購入・利用することで得点を稼ぎます。資本家階級は、会社を設立し労働者を雇い商品やサービスを生産、販売することで金を稼ぎ得点を稼ぎます。中産階級の主な得点源は労働者と同様ですが、自ら会社を設立できます。政府はなるべく全階級にバランスよく政策を実施し得点を稼ぎます。各プレイヤーは、各ラウンド中に税金を政府へ払います。

 

そしてこのゲームの中核を担うものが、7つの政策とイデオロギーです。7つの政策(財政、労働、課税、医療、教育、貿易、移民)は、それぞれ社会主義か新自由主義か、国家主義か世界主義か、どのイデオロギーに属するのかによって、各プレイヤーに影響を与えます。

例えば、労働政策が社会主義であれば最低賃金が上がり、労働者階級は多くの賃金を得られますが、逆に資本家階級は利益が減ります。課税政策が新自由主義であれば払う税金は減り、プレイヤーはより多くの金が手元に残りますが、逆に政府は税収が減り下手をすればIMFが介入してきます。

これらの政策(イデオロギー)は、投票アクションによってゲーム中変えることができます。もちろん各プレイヤーは、自分にとって有利な展開になるようそれらの政策を変えようとします。ここがこのゲームの熱い点です。ちなみに投票アクションは、各プレイヤーが賛否を表明した後、袋からキューブを引き、その多数決で可決か否かを決定します。

 

3人戦。僕は労働者階級をプレイ。

とにかく労働者は働いて賃金を得て、商品・サービスを購入消費するという、戦略は非常に分かりやすい。更に一定の条件下で労働組合を形成できます。欧米のゲームですので、企業内労組でなく産業別労組になりますが、思わず20代の頃(労働者やってた頃)、組合の委員をやったことを懐かしみます。

 

僕は1ラウンド目から、賃上げとデモをしたい衝動にかられ移民政策に投票する作戦。

移民政策は成功し、労働者がどんどん増えていきます。ただ会社もそれなりに増えていったため、デモは結局できませんでしたが、そのおかげで労働組合は順調に増やすことができました。他方、毎ラウンド人口分まで食料を消費しなくてはいけないため、出費がかさんでいきます。良いことばかりではありません。

 

資本家階級のプレイヤーは、中盤以降、貿易政策を国家主義に変えたため、関税が高くなり、食料消費での支払いがきつくなりましたが、賃上げをそれなりに維持できたこともあり、何とかなりました。

更に「うちはブラックだから」と、何と設立した会社を次々に売却するという戦略(暴挙?)に。その会社で働いていた労働者は失業者になってしまい、労使ともに機会損失ですが売却により収益は増えます。労働者階級は一定以上失業者が増えればデモができるため、それを恐れた資本家階級は中産階級労働者がいる会社中心に売却。そのおかげで僕は助かった反面、中産階級はちょっとつらそうでした。(後から思えば、中産階級は例えば財政政策による国営企業や自社の設立で、失業者を救う(働かせる)戦略がマストだったのかも)

 

中盤以降、投票により医療や教育政策を社会主義にもっていき、政府からそれらサービスを無料で得られるようになりましたが、中産階級も当然取りに来るため、すぐに政府の在庫は枯渇するという事態に。

そして資本家階級が課税政策を新自由主義に変えたことで、国の税収は激減、最終ラウンドでとうとう政府は借金(国債発行)をするという事態に。IMFの介入は免れましたが、もしあともう1ラウンドあったら恐らく介入され、展開は変わっていたでしょう。(それはそれで見たかったが)。医療、教育無料化で税金安くしていたら、流石に国は潰れます。

 

そんなこんなでゲーム終了、何とか逃げ切りました。

ゲーム中もそうですが、終了後も政治経済の話で盛り上がりました。ボドゲ後にそんな話をするとはw各役割になりきって疑似体験できるというボドゲならではの醍醐味も味わえましたし、何と言ってもこのゲームにはストーリーを感じる。

世の中は、イデオロギーと政策、そして各階級(それぞれの立場の人)の思惑の中、絶妙な関係で成り立っているのだと改めて気づかされました。「○○政策を○○に変えたら、他にどのような影響が出るんだろう」と思わず頭の中でシミュレーションしてしまいます。そして結局はループし、何が正解なのか難しいことに気づきます。まさに世の中そのものです。

唯一無二の素晴らしい体験ができるビッグゲーム、世界中で評価が軒並み高いことが理解できました。

 (社員研修にはあまりにも敷居が高すぎますが、興味のありそうなクライアント経営者に一度声かけてみよっと)

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